投球障害肩
概要
投球動作を繰り返すことによって肩の痛みなどから投球困難を生じる肩関節のスポーツ障害です。
成長期の選手は、骨が伸びていく軟骨部位(骨端線)にストレスがかかることで怪我に繋がり、成長期を過ぎた選手は靱帯や筋肉の怪我に繋がります。近年では、壮年期での発症も多くみられます。
原因
投球の一般的な動きはワインドアップから始まりフォロースルーまでとなります。この中で肩への負担が最も大きいのは、ボールリリース前の腕を加速している時期で、痛みの訴えが一番多いとされています。投球フォームが原因と思われがちですが、身体機能の低下が悪いフォームを作り出していることがほとんどです。
症状
主に肩関節の前方や後方、もしくは両方に痛みを生じることが多く、投球時のLate cookingからAccelerationにかけて起こる最大外旋位(以下:MER)に痛みを出現します。
診断
- 問診(投球障害発症時期、障害部位、疼痛発生タイミングetc)
- 触診(患部周囲の圧痛確認、炎症症状の確認 etc)
- 画像診断(Xp,US,CTやMRI)
- 整形外科的テスト
- modified SAT
当科独自の肩甲骨の運動を補助することで、疼痛や運動が軽減するかを見極める機能テストとなります。必要と判断された運動に対してアプローチが行われていきます。
治療
- 基本的には原因となる機能を変える保存療法が選択されますが、場合によっては手術となる可能性もあります。
- 当科では、1-2か月ごとにレントゲンやMRIを撮影し、疼痛部位の状態を確認しながらリハビリテーションを行います。
- 必要であれば、modified SATを基に腋窩神経・肩甲上神経などにハイドロリリースを施行し、問題となる筋肉の柔軟性の改善等を行います
- 投球障害肩を早期に診断・治療できれば、1-3か月程度で投球を再開できることが多いです
- しかし、診断が遅れてしまうと、重症化をきたし、経過が長期にわたる場合があります。そのため、疼痛や可動域制限がみられた場合には早めの受診をお勧め致します。
リハビリテーション
- 何が原因となって投球障害肩となってしまったのかを考えます。投球による肩の障害は、肩の機能のみならず体幹・下半身からの影響を大きく受けます。そのため必要に応じて肩以外の関節の機能を獲得していく必要があります。
- 痛みの軽減・消失だけでなく、再発することなく野球を楽しめるよう予防の観点からも指導させていただきます。
①インナートレーニング
投球時に負荷がかかりやすい部位のトレーニングです。
②肩甲骨周囲筋トレーニング
おでこを床につけ、肩を前方に上げます。真上ではなく図のように開いて肩を上げることがポイントです。
③Stretch poll exercise
Stretch pollを使い背中を伸ばします
胸郭の可動性を向上させる
④胸椎回旋exercise
手を頭の後ろに置き、肩甲骨を引き寄せるように行う
part1
part2
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メディカルプラザ市川駅
江戸川病院