スポーツと貧血
概要
貧血とは「血液中のヘモグロビン濃度が低下した状態」を指します。
肺から身体に取り込まれた酸素は赤血球の中のヘモグロビンと結合して身体の隅々の細胞に運ばれます(図1)。このヘモグロビンの濃度が低下すると酸素を運ぶ能力が低下するため、パフォーマンス、特に持久力の低下を招きます。
図1 赤血球/ヘモグロビン
スポーツによる貧血の原因は右記のようなものが考えられています。
その他に、女性アスリートでは生理による経血が重なる事で貧血になりやすい状態になります。また実は他の病気が重なっていたということもあり得るので、貧血かもと思った方は一度医療機関を受診することをお勧めします。
- 足裏の衝撃による赤血球の破壊
- 消化管の血流不足による出血
- 大量発汗
- 炎症による鉄吸収阻害(ヘプシジン)
- 鉄需要の増大
など
(スポーツによる貧血の原因例)
スポーツを行うことで鉄が不足しがちになりますが、食事などで十分な補充ができていれば貧血に至ることは少ないです。そのためスポーツが原因で貧血に至っている場合には、十分な鉄の補充ができておらず、また鉄だけでなくその他の栄養素やエネルギーも不十分である可能性があります。
参考(江戸川病院HP): RED-S(Relative Energy Deficiency in Sports : スポーツによる相対的エネルギー不足)
症状
貧血の症状は多岐にわたり、また慢性の経過では低下していても無症状という方もいます。「なんだか調子が悪い」「疲れやすい」「集中力がない」「頭痛がある」「軽い運動で息切れがする」など日常生活で症状を感じる方もいれば、「パフォーマンスが悪い」「呼吸も楽で、足も疲れていないのに、なんだか動かなくなる」などスポーツをやっている時だけ症状を自覚する方もいます。
診断
採血検査でヘモグロビンの数値や関連する項目(Fe,フェリチン,TIBCなど)の数値を確認する事で貧血の診断を行います。またヘモグロビンの低下がなくても、体内の鉄が不足している相対的鉄欠乏でも症状が出る方もいます。その他スポーツ以外の原因 (出血,月経,その他の病気)が重なっていないかもチェックします。
治療/対応
スポーツ以外の原因がなければ、鉄剤の補充を行います。また栄養指導も行い、補充が十分にできているかも評価します。
参考文献
Sim, M., Garvican-Lewis, L.A., Cox, G.R. et al. Iron considerations for the athlete: a narrative review. Eur J Appl Physiol 119, 1463–1478 (2019).
受診するには・・・
メディカルプラザ市川駅
江戸川病院