上腕骨外側上顆炎
1.テニス肘とはどんな病気ですか?
- 肘の外側(外側上顆)に炎症を生じる疾患です(外側上顆炎)
- 手首や指を伸ばす筋肉や腱が損傷することによって生じます。
- 現在は打ち方が異なるため多くはありませんが、テニスのバックハンドで痛めることが多かったため「テニス肘」と呼ばれています。
- 物を掴む、握る、指を多く使う方に起こりやすい疾患です。
2.どんな症状が出ますか?
- ものを掴む、握る時に痛む
- パソコンのマウス操作で痛む
- テニスのバックハンドで痛む
- 肘から指にかけての安静時の痛み
3.どんな治療をしますか?
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当科ではエコーを使って損傷部位を確認します。
基本的には保存療法主体で治療します。(約90%の症例で改善していくと言われています。) - 生活指導:物を持ち上げる時には、脇を締め、そばによって、下から物を持ちあげるようにします。
理学療法(リハビリテーション)
- テニス肘サポーター:前腕部のパッドでの圧迫で腱に負担がかからないようにします。
- 注射治療:炎症が強く夜間に疼くような痛みがあるときはエコーガイド下の抗炎症薬の注射で炎症の鎮静化をはかります。痛みの原因が腱以外の神経などにある場合はその周囲にエコーガイド下に注射を行います(ハイドロリリース)。
- その他:体外衝撃波、PRP(多血小板血漿)注射(まだ確立されたエビデンスははっきりしていません)
それでも改善のない難治症例では手術治療(直視下or関節鏡視下)を行います。
4.当科では
- 上記の難治例では関節鏡による手術を行います。また自費にはなりますが一定の効果が得られている高圧酸素療法も行うことができます。(PRPも導入予定です)
<理学療法(リハビリ)>
- 手首、指を動かす筋肉のストレッチを行います。
- 肩周囲(特に内側に捻る動作)の柔軟性獲得により肘や手首にかかる負担を減らします。
- 神経や靱帯周囲の組織が痛みの原因の場合その組織の柔軟性獲得を目指します。
<参考文献>
- 日本整形外科学会診療ガイドライン委員会:上腕骨外側上顆炎の診療ガイドライン,南江堂,東京,2006.
- 島村安則他:上腕骨外側上顆炎の診療ガイドライン, 岡山医学会雑誌,第123巻, 141-144,2011.
- 村岡邦英 他:上腕骨外側上顆炎に対する超音波検査の試み.日本肘関節学会誌,23(2)340-342,2016.
- 若林良明他:上腕骨外側上顆炎の診断と治療.MBOrthop,24(1):48-52,2011.
- 佐藤達夫他:橈骨神経-肘付近の絞扼要素.Journal of clinical rehabilitation,4(2):108-111,1995.
- 副島修:肘関節 肘外側障害 テニス肘の診断と治療(解説/特集).Orthopaedics,30:35-42,2017.
- 高原正利:上腕骨外側上頼炎の保存治療―文献調査―.整・災外.48:1025-1030,2005.
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Boyer I, et al: Lateral tennis elbow: "Is there any science out there?". J Shoulder Elbow Surg. 8:481-91, 1999.
Sanders L, et al :The epidemiology and health care burden of tennis elbow. Am J Sports Med. 43:1066-1071,2015.
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