医療法人社団 靭生会

メディカルプラザ市川駅

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採血結果の見方

採血結果の見方

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透析がうまくいっているかわかる採血データ

標準化透析量(Kt/V)

透析で尿素などの低分子の老廃物がどれくらい除去されたか、つまりどれくらい血液をきれいにできたかを示す指標です。

目標値男性1.8以上、女性2以上

尿素窒素(BUN)

蛋白質が分解されるときにできる老廃物で、肝臓で合成されます。

腎臓の機能が低下すると尿素窒素の血中濃度も増加するので、腎臓の障害の程度をみる指標として使われています。

目標値20~70mg/dL

電解質のコントロールができているかわかる採血データ

ナトリウム(Na)

人体に必要かつ重要なミネラルのひとつで、細胞、神経、筋肉の働きを正常に保つために必要な物質です。

量が過剰になると高血圧になったり、筋肉がけいれんすることがあります。水分や食塩の摂取に注意しましょう。

目標値137~145mEq/L

カリウム(K)

腎不全が進むとカリウムの排泄が行われなくなります。

カリウムは野菜や果実に多く含まれ、カリウムの排泄が行われない透析患者さんが野菜や果物を食べ過ぎると、血中のカリウムの濃度が高くなりすぎた状態の高カリウム血症となり、不整脈を起こしたり、心臓停止する危険があります。

透析患者さんは、カリウムの制限が非常に重要です。

目標値4~5.5mEq/L

リン(IP)

腎臓の機能が低下すると血中にリンが溜まる高リン血症になり、その結果カルシウムがリンと結合して動脈に石灰化して溜まり、心筋梗塞や脳梗塞の危険性が高まります。

また、長い間透析をしていると骨強度や骨密度が低下することがありますが、その骨を守る筋肉を維持することも重要です。

目標値3~5.5mg/dL

補正カルシウム濃度

透析前の補正カルシウム値が高いほど生命予後が悪いことが分かっています。

低カルシウムでは筋けいれん、つり、神経症状、不整脈など、高カルシウムでは血管の石灰化や動脈硬化の原因となります。

目標値8~9.5mg/dL

健康(栄養や筋肉量)の状態が分かる採血データ

アルブミン(Alb)

アルブミンは血中に存在し、最も多く含まれる蛋白質の一種です。

透析患者さんには栄養不良が見られることがあります。さまざまな調査で、透析前のアルブミン値が高い(栄養状態が良い)方がそうでない方に比べて生命予後が良いことが分かっています。

目標値3.6g/dL以上

合併症の心配がないかどうかわかる採血データ

ヘモグロビン(血色素量 Hb)

血中のヘモグロビンの値で貧血かどうかを判断します。

腎臓はさまざまなホルモンを分泌しています。そのひとつに赤血球を作るはたらきを促すエリスロポエチンというホルモンがあります。

腎臓の機能が低下するとエリスロポエチンの分泌が減り赤血球を作るはたらきが落ちるため、腎性貧血という強い貧血が起こります。徐々に進行するため自覚しにくい貧血です。

透析患者さんはエリスロポエチンの分泌の低下以外に、尿毒素による造血障害や透析による血液の損失などによってますます貧血が進行します。

ヘモグロビンには呼吸によって取り込まれた酸素を全身の組織や細胞に運ぶ重要な役割を担っています。

貧血になると身体の各組織や細胞に十分な酸素が供給されなくなるため、さまざまな症状が現われます。皮膚や唇や爪が白くなる、疲れやすい・息切れ・立ちくらみ・めまい・動悸なども、貧血が原因で起こる場合があります。

目標値10~12g/dL

β2-ミクログロブリン(β2MG)

長い間透析をしている患者さんに頻発する血液透析固有の合併症に透析アミロイドーシスがあります。β2-ミクログロブリンが排泄されなくなって血中に溜まり、やがて骨や関節に沈着することによって痛みとともに機能障害を起こす治療が難しい合併症です。

目標値25mg/L以下

Intact PTH(副甲状腺ホルモンintact)

血中のカルシウムが低くリンが高い状態が長く続くと副甲状腺がだんだん大きくなりホルモンを必要以上に分泌するようになります。

この状態になると過剰に分泌された副甲状腺ホルモンによって骨が溶け骨折しやすくなったり、骨や関節が痛くなったりします。

また骨から溶け出したカルシウムがリンと一緒になって血液の壁に付着し強い動脈硬化を引き起こしたり、血管、心臓の弁、関節などに付着し心不全・脳出血・脳梗塞・心筋梗塞などといった重大な心血管系合併症の原因になります。

目標値60~240pg/mL